保険治療と自費治療の混合はOK? | 柔塾【やわらじゅく】

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保険治療と自費治療の混合はOK?

保険治療と自費治療の混合はOK?

カテゴリー:Q&A

この記事は 約 6分16秒 で読めます。

保険治療と自費治療の混合はOK?

今回は、前回に引き続きU先生の2つ目の質問である

【質問2】混合治療とは大丈夫なのでしょうか?

について回答したいと思います。

※前回の内容はこちらです。

この内容を解説するには、まず混合診療を理解する必要がありますが簡単に表現できませんので、原点から話しをしたいと思います。

少々長くなりますが、お付き合いください。

※ちなみに、U先生は質問時に「混合治療」と表現されていましたが、これは「混合診療」を柔道整復師向けに表現したのだと推察します。
少々細かいですが、法規を遵守するなら「混合施術」がよいかと思います。

混合診療の原則

混合診療とは、療養の給付での「保険診療と保険外診療の併用」を指します。

具体的な内容は後述しますが、現在の健康保険制度は、保険診療と保険外診療の併用を原則禁止としています。

それでも保険外診療を併用したい場合は、保険診療も含め全額自己負担での取り扱いとなります。

これが、混合診療です。

では、柔道整復師の施術行為に混合診療は該当するのでしょうか?

現状として、柔道整復師に対して混合診療の取り扱いは明文化されていません

つまり、制定も罰則もない状態です。

「なら問題ないじゃん。」

と言いたいところですが、それでは説明になりませんので、何らかの解説を挙げたいと思います。

判断材料の一例

有効なものとしては、柔道整復師が取り扱う保険請求が「療養費の支給」であるという点です。

そもそも、混合診療の禁止は当時から健康保険法などで明文化されたものはなく、厚生労働省の解釈論だけで成り立っていたものです。

では、その解釈論とはどんなものというと、

健康保険法63条1項で医師が行う診療のうち特定の診療を保険者が
被保険者に行う『療養の給付』と定めており、同法86条では混合診療のうち
保険外併用療養費を支給するものを限定列挙しているから、
これに該当しない混合診療はおおよそ保険給付をしない。

というものです。

少々強引ですが、簡単にまとめると

「混合診療の禁止について触れた法規はどこにもないが、逆に混合診療を認める
という法規があり、それが保険外併用療養費というもので定められている。」

「じゃあ、保険外併用療養費に該当しないものを混合診療するのはダメだよね。」

という考え、これが混合診療の禁止の解釈論です。

「そんなの一方的だ!おかしい!」

と主張し、裁判まで行いましたが最終的に「厚生労働省の解釈が妥当」という判決が最高裁で下されました。

結局のところどうなの?

話しが長くなりましたが、何が言いたいのかというと、柔道整復師が取り扱う保険請求は「療養の給付」でもなければ「保険外併用療養費」など一切関係がないということ。

また、柔道整復師の施術行為が「診療」ではなく「施療」ということも影響します。

この点については、業界内外で様々な意見がありますが、現状は類似医療行為での位置付けです。

したがって、柔道整復は混合診療の定義に当てはまらない。

これらを考慮すると、U先生の質問の「混合治療」は問題ないと判断することができます。

ただし、私個人としては問題ないと判断できるものの「施術内容によるだろう」と認識しています。

この「施術内容による」というのは、

「混合した保険と自費の施術内容を正しく区別し明示できるかによる」

という意味です。

柔道整復としての「混合診療」とは?

少しおさらいしますが、先ほどまで解説した混合診療の原理原則を仮に柔道整復師に当てはめると、

「1つの部位、1つの負傷に対しての一連の施術に対し保険と保険外を併用する」

というものが混合診療に該当します。
(正しく言うと「混合施術」となるかと思います。)

この混合診療(施術)に現状は違法性がなくとも、健康保険を取り扱う以上、療養費の対策は必要不可欠です。

なぜなら、原則として療養費の請求権は患者にあります

そして、療養費の支給決定権がある保険者は、不正な請求かどうかの照会を柔道整復師ではなく患者に実施します。

この時、照会対象となった施術行為が保険と自費を混合している場合、患者の認識が不明瞭だと

「どこまでが保険でどこまでが自費?」

が判断できず、保険者に不必要な疑義を与える可能性があります。

1つの部位または負傷に対して保険と自費が混合するわけですから、施術者と違い患者にとっては区別しにくいのです。

目に見えて変化があるものならばまだしも、徒手のみで混合したなら尚更です。

一度疑義の対象となると、支払われるべき療養費が保留扱いとされ、最悪の場合、減額や不支給となる可能性もあります。

患者の誤った認識によって誤解を招き、院の収益に大きな悪影響を与える可能性があることを理解しなければなりません。

では、どうするのか?

対策方法の1つとして挙げられるのは、患者へ自費施術の説明をする際、「直接的効果」ではなく「関節的効果」として訴求する方法。

そうすることによって、患者の意識には保険と自費が区別されて認識されるので万が一の照会時にも誤った発言を防ぐ効果が期待できます。

もちろん、口頭だけでは対策不足ですので書面での院内掲示や手渡しによって伝えることも重要です。

接骨院・整骨院にとって自費施術も重要な収益の柱ですので、保険とうまく共存させた院経営を考えていただければと思います。

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お問い合わせ内容については十分に精査し回答しておりますが、必ず所属の業界団体もしくはレセコン業者、行政にもお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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樋口 弘明

樋口 弘明

関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。
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2 件のコメントがあります

高山 鶴望 より:

一つ質問があるのですが、基本的な事ですみません。
患者様の自宅で行った柔整の施術は保険請求は可能なのでしょうか?(患者様は歩行できます)

高山 鶴望

樋口 弘明 樋口 弘明 より:

高山 様

コメントいただきありがとうございます。
療養費の取扱いは、届出を済ませている接骨院・整骨院での施術提供であることが原則となります。
往療の場合はその限りではありませんが、今回の場合、患者自身による歩行可能との事ですので、往療での算定も不可となります。
参考にしていただければと思います。

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