保険請求

冷・温罨法の取扱いを確認する

罨法とは?

罨法のことを考えていると、ふと思いました。

長く接骨院・整骨院で勤めていると違和感がありませんが、よく考えると普段の日常生活で「罨法」なんて使いませんよね?

「知った風に使っててはいけない!」と思って、改めて言葉の意味を調べることにしました。

調べた結果、辞書には下記のように記載してありました。

炎症や充血をとるために、水・湯・薬などで患部を冷やすか温めるかする治療法。
引用:デジタル大辞泉

想像以上にそのまま・・・調べるまでもない当然の内容でした、すみません。

ちなみに罨法の「罨」は、中国語で「(冷たいもの・熱いもので患部を)覆う、かぶせる」と言う意味があるそうです。

いずれにしても、本来の使い方であれば「罨法」という言葉だけで「冷」と「温」の両方の意味を含むことになりますね。

しかし、柔道整復師が取り扱う療養費の罨法では「冷」と「温」で算定の条件と料金が異なるため「冷罨法」と「温罨法」というように分類されています。

では、それぞれの取り扱いについて解説していきます。

冷罨法

冷罨法は、血管の収縮、血液やリンパ液の循環を抑制、組織の代謝低下、炎症抑制などの効果が期待できるもので、急性期に行われることが多いですね。

算定できる条件として、コールドスプレーや冷湿布、アイスパック(氷嚢)などを用い患部に処置を行う必要があります。

算定できる金額は、80円です。

算定には条件があります。

冷罨法を算定するには、罨法行為のほかに定められた期日に該当する必要があります。

骨折、不全骨折:受傷日から7日間は算定可
脱臼:受傷日から5日間は算定可
打撲(挫傷)又は捻挫 :受傷日又はその翌日の初検日のみ算定可

算定する機会の多い打撲(挫傷)又は捻挫を例に挙げると・・・

例)8月1日負傷の場合、8月1日または8月2日に初検した場合に算定

療養費の留意事項には「初検日のみ算定可」とありますので、今回の例の場合、1日と2日の2日間連続して来院したら2回算定できるというものではありません。

温罨法

温罨法は、血液やリンパ液の循環促進、新陳代謝の活性化、筋緊張を緩和するなどの効果が期待できますので、亜急性期に多く取り入れられます。

算定できる条件として、ホットパック(湿式および乾式)や蒸しタオルなど用い患部に処置を行う必要があります。

算定できる金額は、75円です。

温罨法にも同様の条件があります。

温罨法も、冷罨法と同様に罨法行為のほかに定められた期日に該当する必要があります。

骨折、不全骨折:受傷日から8日目から算定可
脱臼、打撲(挫傷)又は捻挫:受傷日から6日目から算定可

算定する機会の多い打撲(挫傷)又は捻挫を例に挙げると・・・

例)8月1日負傷、同日初検の場合、8月6日から算定

温罨法は後療時にのみ算定できるものですので、初検日が受傷日より6日目でも初検日には算定することはできません。

ただし、初検の日より後療のみを行う場合には算定することができます。

つまり、整復、固定、施療料を算定しない場合ということですね。

整復、固定、施療料については、前記事の【整復・固定・施療料の取扱いを確認する】をご覧下さい。

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。