関係法規

受領委任の取扱いが中止になったら、もう保険請求はできないのか?

柔道整復師の受領委任中止

不正請求による受領委任取扱いの中止

近年、柔道整復師の不正による請求は重要な問題として行政も積極的に動いています。

何らかの理由によって不正が認められた場合は、不正による請求金額の返還と原則として5年間療養費の受領委任の取扱いができないという処分を受けます。

不正請求の主な内容については、前記事の【柔道整復師の不正請求はどんなものがある?】で解説しておりますのでぜひご覧下さい。

不正請求で処分されても、保険請求はできる?

極論を言えば、保険請求は可能です。

受領委任取扱いの中止処分を受けても、療養費支給の原則である現金給付(償還払い)は取り扱えるからです。

また、処分期間(5年間)を経過した後は、再度手続きを行うことで受領委任を開始することが可能です。

(あくまでも申請が可能になるだけで、必ず受理されるものではありません。)

なお、受領委任取扱いの中止処分とともに、営業停止や免許取消などの処分を受けた場合は、保険請求はもちろん柔道整復師として業を行うことはできません。

実際に処分された!今後の活動は?

受領委任取扱いの中止処分後の活動について、いくつかの例を挙げてみました。

・当該院は閉院し、近隣で整骨院を再度開設(受領委任契約は不可)

あくまでも受領委任の取扱いに関する処分ですので、整骨院経営自体は継続できます。

しかし、地域の評判を考えると同じ場所で活動するのは困難でしょう。

ですが、今後も自費で通院してもらえる患者のために、近隣で再度開設するというパターンです。

・整骨院は開設せず、技術を活かして整体院として開業

「自費の患者」という部分は上記と共通していますが、接骨院・整骨院ではなく整体院として新規開設するというパターンです。

鍼灸師の資格を取得している場合は、鍼灸院として新規開設する場合もあるようです。

・独立開業はせず、クリニックや整骨院で勤務

自身で開設はせずに、既存の医療機関に勤務するというパターンです。

医院ではなく、他の接骨院・整骨院に就職した場合、処分期間中は受領委任を取り扱うことはできないので管理柔道整復師にはなれません。

※受領委任取扱い処分中は、勤務柔道整復師にもなれません。つまり「自費」による施術のみ可能となります。

・施術者そのものを引退する

知人で実際に処分を受けた資格者がいますが、現場での経験を活かして医療機器を販売するメーカーに再就職をしています。

他にもあるかと思いますが、多くは上記のいずれかに該当するのではないでしょうか?

不正請求での処分内容は、所在地や実名も含めてインターネットで公開されるため、社会的信用度が低下することは必至です。

いずれにしても、不正問題は柔道整復師というよりも、人間性を問われるものであることは間違いありません。

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。