交通事故は同じ部位を異なる保険会社に請求できる?
今回、T先生からご質問をいただきました。
整骨院勤務の柔道整復師です。
現在、交通事故の患者さまが通院中なのですが、その方がまた事故にあった場合、違う保険会社なのですが、同じ部位でも請求できるのでしょうか?
インターネットなので調べてもわからなかったので、もし分かるのであれば教えて頂くと助かります。
T先生、ご質問いただきありがとうございました。
今回の内容は、各保険会社の会社規程による影響もあり適切な方法は一つではありませんが、よく行われるものとして回答させていただきます。
お問い合わせ内容をまとめると、
ある既存患者が、交通事故による負傷の施術している。
この患者が、新たに交通事故に遭い施術中である部位と同じ箇所を再負傷した。
初回と新規の事故による保険会社は異なる。(仮にA損保、B損保とする)
今回の事故によって同じ部位をA損保とB損保に重複して請求することはできるのか?
というものです。
結論から申し上げますと、重複して請求することはできないかと思います。
上記内容で適応される請求方法としては、
1、B損保への請求は行わず、A損保への請求を継続する。
2、A損保への請求を中止等とし、B損保への請求へ切り替える。
というように、どちらかの保険会社にて請求となるかと思います。
いずれにしても、各保険会社へ連絡を行う必要があります。
ただし、柔道整復師ができることは、当該患者の負傷の経過と状態、請求方法の確認だけですので、患者本人には事故による詳細な情報をそれぞれの保険会社に報告してもらっておく必要があります。
今回のお問い合わせは同じ負傷の場合でしたが、もし異なる部位を負傷した場合には、A損保、B損保それぞれの請求を並行して行われる場合もあります。
例)
・A損保は、自動車運転中の後方衝突によるむち打ち → 頸椎捻挫
・B損保は、歩行中にバイクのよそ見運転による接触事故 → 左半身打撲 など
ただし、請求先となる各保険会社との関連性にもよりますので一概には言えません。
保険会社によっては、今回挙げた内容とは異なる請求方法を提示してくる場合もあります。
柔道整復師が行える範囲としては「適切な施術と正しい請求を行うこと」ですので、患者はもちろん保険会社との連絡を怠ることなく、将来的なトラブルを発生させないよう心がけていただければと思います。
余談ですが、療養費により施術中の既存患者が交通事故により異なる部位を負傷した場合には、健康保険と交通事故は併用して請求することが可能です。
例)
・自宅にて孫を抱きかかえる際、孫が暴れて体勢を崩し転倒。孫を守る際に無理に体を捻ったために腰部に負荷がかかり負傷する。 → 腰椎捻挫
・自動車運転中、赤信号による停車中に後方から衝突され首を強く捻り負傷。 → 頸椎捻挫(むち打ち)
参考にしていただければと思います。