柔道整復師にとって重要な保険請求
現在も、多くの接骨院、整骨院が保険請求(療養費)で患者の施術を行っているかと思います。
保険請求は、整骨院経営を考えるにあたって重要な課題の一つですので、柔道整復師を志す人であれば誰でも気になる部分です。
しかし、保険請求に関するそれぞれ算定金額はわかるものの、結局は何人の患者でどれくらい支給されるのかイメージしにくいものです。
すでに院経営を行っている資格者には再確認程度の内容ですが、これから開業を考えている資格者の参考になるかと思いますので、少し解説したいと思います。
実際の金額を計算してみる
では、仮に100%保険請求で患者を施術したとすれば、どの程度の金額が見込めるのでしょうか?
まず、算定する療養費を決めていきます。
今回は、初検料や整復、固定、施療料などの初回に算定するもの、初検時相談支援料など条件によって加算するものは省いて計算していきます。
つまり、いわゆる来院3回目以降の患者に算定する療養費(後療料、温罨法料、電療料)のみを対象とすることで、よりに厳密な院経営を再現できるかと思います。
取り扱う部位数も、実際には1部位負傷の患者もいれば3部位負傷の患者もいるので、今回は2部位負傷を平均として考えてみます。
(後療料 500円+温罨法料 75円+電療料 30円)×2部位=1,210円
【2012年6月現在】
上記の 1,210円 が患者1人の金額となります。
次は、患者一人当たりの施術時間と施術を受け付ける日時を決めていきます。
もし、施術時間を15分で行い、負傷の指導や誘導に5分必要とした場合、患者1人に対しての対応時間は20分となります。
一般的な施術の受付時間は8時間ですので、限界まで患者を施術した場合は施術者一人で最大24人施術することができます。
受付日数に関しては、休術日を日曜日のみとした場合を月平均して約25日とします。
平日、土曜は午前、午後ともに受付し8時間施術したとします。
上記の条件を当てはめて計算すると、次のようになります。
1,210円×24人×25日=726,000円
【施術者が一人の場合】
いかがでしょうか?
もちろん、毎日24人施術できるとは限りませんが、初検料など今回の計算に含めていない療養費の項目や平均部位数を考慮すると、おおよそ上記金額に近いものになるはずです。
家賃や人件費、光熱費や消耗品などの経費を正確に算出しておけば、100%療養費での整骨院経営は可能かと思います。
今後も療養費を取り扱うために・・・
数年前と比べると、療養費の取り扱いは年々厳しくなっています。
この部分だけ聞くと「いずれ、保険請求は利用できなくなる・・・」と考えてしまいがちです。
しかし、今までが無法地帯すぎたと考えれば、現状は取り扱うためのルールが明確に定められただけであり、正しい療養費の申請を行えば、間違いなく支給されます。
平成24年10月に行われた柔道整復療養費検討専門委員会でも、保険者側は療養費の大幅な減額や算定条件の追加を要求してきましたが「廃止」そのものを求めてきたわけではありません。
まだ柔道整復師が療養費を取り扱う必要性を示す猶予は残っているのです。
患者の保護、必要性を強調いくことはもちろんですが、今後も柔道整復師が正しい療養費の取扱いを続けていく姿勢を示すことが重要でしょう。