接骨院、整骨院の窓口料金について
接骨院、整骨院の施術料金表をみると、負担割合別に一律で徴収している院をみかけることがあります。
1割負担なら250円/1回、3割負担なら500円/1回というものですね。
これはいわゆる 定額徴収 に当てはまるのですが、療養費を取り扱うにあたって問題とされやすいものです。
理由としては、負担割合という分類だけですべての患者の窓口支払額が一律となることは原則と考えにくいからです。
一例を挙げてみますと、
・負担割合は3割
・窓口負担は一律500円(定額徴収)
・施術内容はまったく同じ(後療(徒手)、電料、罨法を算定)
・物療機器にはローラーベッドと牽引機を利用
※算定料金は2013年5月現在のもの
上記の条件で、施術所に患者が二人(患者Aと患者B)通院しているとします。
それぞれの後療期間の療養費一部負担金額を計算すると、下記のようになります。
■患者Aは2部位にて請求
後療料505円+電療料30円+(温)罨法料75円=610円×2部位=1,220円
1,220円の3割負担=370円
■患者Bは1部位にて請求
後療料505円+電療料30円+(温)罨法料75円=610円
610円の3割負担=180円
窓口負担は定額徴収(500円)の設定ですので、差額の部分は療養費ではない自費負担分の請求として取り扱うこととなります。
つまり、患者Aの場合は130円が自費負担分、患者Bの場合は320円が自費負担分となります。
しかし、ここに疑義が生じることになります。
施術内容も同じ、物療機器も同じ・・・なのに自費の負担金額は同じではない。
「なぜ、患者Aと患者Bの自費負担分に違いがあるのか?」
これを明確に説明できるかが非常に重要な部分となります。
明確な説明ができない場合「自費負担分というのは建前で、将来的な部位転帰時などの差額を調整するための対策ではないのか?」と判断され、療養費請求に関する本格的な調査へと発展してきます。
判断材料はこれだけではありません
先ほどの例は二人の患者を比較しましたが、これは一人でも同じ事が言えます。
仮に1部位で施術を行い療養費請求を行っていた患者が、不幸にも別の箇所を負傷し新規施術を開始した場合に、後療期間の1部位時と2部位時の窓口負担が全くの同じ金額ならば同様の疑義が生じる可能性があります。
例) ※各種条件は、先述した例と同様とします。
■今までは1部位請求
610円の3割負担=180円(320円が自費負担分)
■新規負傷により2部位請求
1,220円の3割負担=370円(140円が自費負担分)
一般常識で考えた場合、負傷箇所が増えたのなら施術の範囲も物療機器の利用内容も比例して増えるはずです。
それぞれの行為が増えたのなら当然に自費負担分も増えると考えるのが妥当なのに、上記の例ではなぜか負傷部位が増えると自費負担分は減っていきます。
どうしてでしょうか?
負傷部位が増えると、自費分はサービスするのでしょうか?
そんなはずはありませんし、明らかに疑義の対象となり得る内容です。
定額徴収の取り扱いを間違えないこと
ただ、定額徴収そのものが法に反するというものではありません。
例えば、何らかの物理療法機器を1施療あたり100円と設定し、自費負担として定額徴収するという内容であれば問題ありません。
例) ※各種条件は、先述した例と同様とします。
■今までは1部位請求
610円の3割負担=180円+自費負担分200円(ローラーベッド、牽引機)=380円
■新規負傷により2部位請求
1,220円の3割負担=370円+自費負担分200円(ローラーベッド、牽引機)=570円
つまり、療養費負担分と自費負担分の総合計が定額徴収となることが問題なのです。
定額徴収を実施している施術所は、何らかの不正(または不当)な請求を行っている可能性が高いという過去の調査結果に基づいて疑義対象とされやすい傾向がありますので、取り扱いを誤ることのないようにしてください。