関係法規

柔道整復師の「助手」という範囲はどこまでを指すのか?

柔道整復師の「助手」という範囲はどこまでを指すのか?

雇用していますか?

接骨院、整骨院には、管理(または勤務)柔道整復師のほかに助手の従業員を雇用することが一般的です。

この助手というのは、多くの場合、柔道整復師の養成学校の学生ですね。

学校で受験勉強をしながら、実際の現場で業務内容を学ぶというのはとても素晴らしいことだと思います。

しかし、助手は何でも「助手」できないのはご存じですか?

この助手という立場の人物は、どこまでの行為を「助手」とみなされるのかを考えてみたいと思います。

「助手」という範囲はどこまでを指す?

今回は「保険請求を行う患者への補助」という前提での話しですが、結論からいうと療養費算定に関わる行為はすべて行えないと考えることが妥当です。

療養費を算定する代表的な行為を挙げると、施術行為(後療料)、患部の温・冷行為(罨法料)、低周波行為(電療料)などがありますが、これらは柔道整復師が施すことにより算定可能となるのはご存じの通りです。

また、療養費を算定可能とするには最初から最後まで柔道整復師が業を行う必要があるため、途中で無資格者が代わってはいけないのです。

「代わる」というのは、文字通り柔道整復師がその場から離れることを指します。

無資格者に「後は任せた」というのは問題なのです。

「そんな内容どこにも書いてないじゃないか!」という資格者もいますが、考えてみて下さい。

受療委任制度を含め、柔道整復の療養費の支給は柔道整復師にのみ認められた制度です。

柔道整復師でしか取り扱えない特別なものです。

ですので、最初から最後まで柔道整復師がその行為に責任を持つことではじめて成り立つものです。

長い月日をかけて手にした特別な制度を、易々と無資格者に任せてはいけないのです。

「うちでは、ちゃんと指導して代わってるから問題ない」という資格者がいますが、これは「補助」ではなく「業の一部」であり、無資格者が療養費を算定する業に関わっていることが問題なのです。

無資格者ができる助手行為を簡単に言ってしまえば「湿布を貼る」や「固定の際の添え木を支える」などです。

湿布を貼る行為自体に療養費の算定事項はありませんし、患部を固定する際の補助も業務行為自体は柔道整復師が行っており、無資格者は「支えている」に過ぎないため問題ありません。

また、施術の際にテーピングが貼りやすいよう患者の服を持つことも問題ありません。物療機器の準備をしたり低周波などのパッドを柔道整復師に手渡すことも問題ありませんが、機器の出力の強弱を取り扱うことは認められません。強弱という行為は電気療法の効果に大きく関わるため、柔道整復師の業とみなされることとなります。

周りに流されないための知識が必要

そうは言っても、施術所によっては罰せられることもなく無資格の助手に任せている場合もあるでしょう。

取り締まられない大きな理由としては、行政の怠慢が原因ではあります。

しかし「周りもやっているから・・・」と流されてはいけません。

その時がきてからでは手遅れとなってしまいます。

いつも思うのは、あまり法規や制度を理解されないまま業務を行っている資格者が多い気がすることです。

法規を理解すると、良いこと悪いことが分かるだけでなく、法への対応策(いわゆるグレーゾーン)も見えてくるようになります。

この機会に、関係法規の教科書を開いてみませんか?

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。