保険請求

往療料の取扱いを確認する

往療とは?

往療という言葉は一般にはなじみがありませんが、いわゆる「往診」のことですね。

柔道整復師が取り扱う療養費の基本原則は、接骨院・整骨院に患者が来院し施術を行った際に請求するものです。

しかし、やむを得ない理由により来院できない場合に施術者が患者の家に赴いて施術を行い、請求するものを往療として取り扱います。

距離によって違います。

往療で算定できる金額は、施術所から患者の家までの距離によって異なります。

金額は下記のとおりです。

片道2km以内:1,860円
2kmまたはその端数を増すごとに加算:800円
片道8kmを越えた場合の加算:一律2,400円

上記金額を距離で具体的に計算すると、このようになります。

例)往療距離
・1.5kmの場合→1.860円
・2.1kmの場合→1.860円十800円=2.660円
・4.0kmの場合→1.860円十800円=2.660円
・4.5kmの場合→1.860円十800円十800円=3.460円
・6.0kmの場合→1.860円十800円十800円十800円=4.260円
・8.0kmを越えた場合→1.860円十2.400円=4.260円

2㎞を基準として、追加の距離があるかどうかで考えるとわかりやすいと思います。

6㎞と8㎞を超えた場合の合計料金に違いがありませんが、2㎞ごとの算定加算が一律に変わるという意味でお考えいただければと思います。

算定条件は「動けない」ことが必須です

では「単に患者の家で施術をすれば往療を算定できるのか?」というと、そうではありません。

往療の算定には、下記の条件を満たしている必要があります。

往療料は、下肢の骨折又は不全骨折、股間節脱臼、腰部捻挫等による歩行困難等真に安静を必要とするやむを得ない理由により患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に算定できるものであり、単に患者の希望のみにより又は定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には算定できないこと。

つまり、単に患者が「今日は体調がよくないから、家で施術してよ」などという理由では算定できません。

また、上記解説文には下肢あるいは腰部など歩行に関する傷病を具体的に例に挙げており「歩行困難等真に安静を必要とする・・・」と記載してあります。

ですので、頚部や肩部など歩行自体に支障はない傷病で算定することは困難と言えるでしょう。

往療は「痛すぎて、自宅から一歩も動けない!」という患者限定で取り扱うものと考えたほうがいいですね。

杖さえつけば歩ける、このような場合は算定できません。

また、外来可能となれば算定終了のため、回数を多く重ねる症例は少ないかもしれません。

ちなみに「患家」は「かんか」と読みます。

僕は「かんけ」と読んでました・・・お恥ずかしい・・・

往療についての解説は、次回も続きます。

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。