覚えていますか?
平成24年3月12日に厚生労働省より「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」が通達されました。
平成22年度療養費改定では、行政刷新会議や会計監査院による決算検査報告の指摘などにより、領収証の義務化、レセプトへの来院日の記載など、主に施術者向けの適正化を実施されましたが、当該通達では保険者に対して適正化に取組むよう通達した内容だったことが非常に印象的でした。
この記事は平成25年3月に書いておりますので、この通達されてから1年が経過しましたが、療養費請求にあたって非常に重要な内容ばかりですので、今一度見直そうと思います。
実際の通達資料を下記に添付しておきます。
皆様も、ぜひ確認して下さい。
主な内容の確認
それでは内容を確認してみます。
大きな分類として4つ挙げられています。
1.被保険者等に対する柔整療養費の医療費通知の実施の徹底
柔整療養費の適正な制度運営に資するため、被保険者等に健康及び柔整療養費制度に対する意識を深めさせることを目的として、柔整療養費についても被保険者等に対する医療費通知の送付等を積極的に実施されたいこと。
※文字の装飾は、当サイトによるものです。
これは「接骨院、整骨院に通院した患者に対して当該療養費の内訳を通知しましょう」というものです。
現在、数ヶ月単位で「医療費のお知らせ」ということで送付されているかと思います。
見本として、私の通知書を載せておきます。
クリックすると拡大します。
上記は、私が自宅マンションの階段を踏み外し左足首を負傷した際に来院した時の通院日数と金額が記されています。
この通知書によって、日数と金額に間違いがないか確認できますね。
なお、私の地域では医院は院名で記されますが接骨院、整骨院は院名ではなく「県内柔道整復施術」と記されています。地域に違いがあるかどうかまではわかりません。
2.多部位、長期又は頻度が高い施術を受けた被保険者等への調査
調査に当たって、多部位、長期又は頻度が高いとする具体的基準は設けていないが、例えば、3部位以上負傷の申請書、3ヵ月を超える長期継続(4ヵ月目以降)の申請書又は施術回数が頻回傾向(1月当たり10~15回以上が継続する傾向がある場合)の申請書に対して、文書照会や聞き取り等を実施するなど、施術の状況等を確認し支給の適正化に努められたいこと。
※文字の装飾は、当サイトによるものです。
これは、柔道整復療養費に対する調査は各保険者によって行われているところですが、調査基準についてはそれぞれの裁量によって偏りが強い印象ですが、そんな中で具体的な調査基準を示されたというものです。
まとめると
①3部位以上負傷の申請書
②3ヵ月を超える長期継続
③施術回数が頻回傾向(1ヶ月10~15回以上を目安)
ということになります。
3.保険適用外の施術についての被保険者等への周知徹底
被保険者等に対し、柔整療養費に対しての正しい知識を普及させるため、柔整療養費の支給対象となる負傷等について、パンフレットの配布等周知を図られたいこと。周知に当たっては、必要に応じて別添3-1及び3-2を活用されたいこと。なお、
既存のパンフレットを有する保険者においては、別添3-1及び3-2の内容を踏まえ、既存のパンフレットに示す内容について被保険者等が混乱することがないよう、改めて確認されたいこと
※文字の装飾は、当サイトによるものです。
最近では、協会けんぽ、国民健康保険(後期高齢者医療含)に関してもパンフレットを配布するようになりましたが、この療養費適正化の通知による影響が大きいかと思います。
パンフレットに関しては、一部の保険者は何年も前から実施されていますよね。
参考にいくつかのパンフレットを添付しておきます。
クリックすると拡大します。
クリックすると拡大します。
上記パンフレットを見て、イラストなどから制作者の悪意を感じるのは私だけでしょうか?(記載内容も一部おかしな点がありますし・・・)
このような過激なパンフレットが原因かはわかりませんが「厚生労働省が通達した見本を参考にして、被保険者が混乱しないように改めて制作してね」という通知も付け加えられています。
ただ、こういった修正依頼の通知はあまり反映されません。
※上記のような保険者はほんの一部です。
柔道整復師に好意的な保険者は多数いることを忘れないでください。
4.外部委託及び返戻の留意事項
① 外部委託についての留意事項
保険者が、療養費の支給決定までの事務を民間業者へ外部委託することは、健康保険法(大正十一年法律第七十号 、国民健康保険法(昭和三十三年法律第)百九十二号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)に制約する規定はないが、保険者が有する権能(返戻、支給・不支給の決定など)を委託することはできないこと。
民間業者への外部委託に当たっては、被保険者等に誤解を生じさせないようまた個人情報の保護に関して適切に取り扱われるとともに、契約内容が適切に履行されるよう、保険者が責任をもって、指導・監督を行うこととし、別添4に基づき適切に実施されたいこと。
※文字の装飾は、当サイトによるものです。
これは、照会などの作業を民間による外部調査機関に委託することは現行の法令で制約する規定はないけれど、保険者が持っている決定権までを委託してはいけないということです。
外部調査機関が行える具体的な業務内容としては
①文書照会の要否の提案(照会する対象者等を選定)
②疑義案件や審査案件の抽出
③審査資料の作成、審査・点検の作業的な事務
④照会文書の発送
⑤患者からの問い合わせに対する対応
⑥聞き取り項目の作成
などとなっています。
逆に外部調査機関が行うことができない業務内容は
①返戻の決定
②文書照会の要否の決定
③審査の決定
④支給または不支給の決定
⑤被保険者等(患者)からの聞き取り
となっています。
4.外部委託及び返戻の留意事項(続き)
② 申請書の返戻についての留意事項
申請書の返戻については、主に記載内容や添付書類の不備などの補完を行わせるためのものであり、明確な理由を示さずに返戻を繰り返すことのないよう適切に対応されたいこと。
※文字の装飾は、当サイトによるものです。
これは、一部保険者による意味もなく返戻を繰り返す行為を改めてもらうための内容です。
柔道整復師の疑義のある請求に関して適切な内容を求める照会や返戻を行うことは当然ではありますが、異常なまでの返戻行為によって療養費支給を行わない保険者がいるために通知されたものと考えられます。