個人情報保護法とは何か?
前記事では柔道整復師法の守秘義務について解説しましたが、何やら個人情報保護法というものもあるようです。
なんだか似ている気がしますが、守秘義務とどのように違うのか解説したいと思います。
柔道整復師の守秘義務は、柔道整復師法によって定められていました。
個人情報保護法は、内閣府が所轄(管理)している法律の一つです。
ですので、本法が適応される条件を満たしていた場合、業種などに関わらず対象となります。
個人情報保護法の正式名称は「個人情報の保護に関する法律」です。
個人情報の適正な取り扱いが実現されるように2004年5月30日に公布・一部施行され、2005年4月1日に全面施行されました。
こうやって見ると、比較的新しい法律なんですね。
この個人情報保護法に違反すれば、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
個人情報取扱事業者とは?
個人情報取扱事業者とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者を指します。
「事業の用に供している」とは、事業のために反復継続して個人情報を利用することをいいます。
これは営利・非営利を問わず、法人格のない団体も、個人情報取扱事業者に含まれることになっています。
なお、過去6か月以内のいずれの時点において1度も個人情報数が5000を超えていない場合は、いわゆる「任意事業者」として本法からは除かれます。
つまり、個人情報数が5000を超えている場合は、個人情報取扱事業者ということですね。
ちなみに、個人情報とはどんなものなのか下記に例を挙げてみました。
個人情報に該当するもの
・個人を特定できる患者の情報(外国人も含む)
・音声等で特定個人の識別が可能な電話の通知内容
・院に設置した防犯カメラに記録された個人識別可能な映像
・自分の院などの従業員の情報
・個人を特定できるメールアドレス
個人情報に該当しないもの
・個人情報を含まない企業の情報
・個人を特定できないメールアドレス
任意事業者は守らなくてもいい?
極端に言えば、個人情報保護法は5,000件以上の個人データを保持していなければ適用されません。
しかし「医療・介護分野の個人情報保護ガイドライン(厚労省)」では医療分野の重要性に鑑みて、5,000件に満たない小規模医院、薬局、介護施設であっても、この法を遵守することを求めています。
上記ガイドラインに接骨院、整骨院に関して詳細な内容は記載されていませんが、医療分野として準用されるものと考えられます。
下記に添付しておきますので、一度ご覧下さい。
どんな状況が当てはまるのか?
接骨院・整骨院で個人情報の取り扱いに該当する状況を挙げるならば、傷害保険や交通事故の情報提供がイメージやすいかと思います。
上記に該当する患者の施術を取り扱う場合、その保険会社から、負傷の経過等についての情報提供を求められます。
もちろん、必要な情報を保険会社へ伝えなければ、施術費用を受け取ることができないことも考えられます。
しかし、保険会社が求める情報は個人情報保護の対象となるものですので、何らかの方法を用いて情報提供の正当性を示さなければなりません。
一番の方法としては、患者から同意を得ておくことでしょう。
「保険会社から求められた必要な情報は、回答していい」ということを確認し、同意を得た日付と一緒に施術録(カルテ)に記載しておくことです。
あるいは、保険会社に対して「情報提供の同意をもらっていますか?」と確認を取ります。
「同意済」と答えた場合は、担当者の氏名を確認し「情報提供の取り扱いについて保険会社が同意済」などの文章を施術録に記載しておきます。
いずれにしても、患者の同意なくして、情報提供を行うべきではないということです。
電話での情報提供の注意点
もっと徹底するなら、電話で情報を求められた場合に注意点があります。
電話の場合、相手先が本当に保険会社かどうか確認するのは困難です。そのまま素直に答えてしまい、実は「なりすまし」だったという可能性も否定できません。
ですので、電話での情報提供を求められた場合は「今、担当施術者の手が離せないため・・・」などと言って、折り返しこちらから連絡するようにします。
そして、予め確認しておいた電話番号と担当者に院側から電話をかけ直すというものです。
このように取り扱えば「なりすまし」を未然に防ぐことが可能となります。