関係法規

広告の制限を守らない接骨院、整骨院を指導、摘発するには?

広告の制限を守らない接骨院、整骨院を指導、摘発するには?

行政はどう思っているのか?

「広告の制限についてはよく分かった。しかし、近所に新しく開院した整骨院の広告があまりにもひどすぎる、どうにかならないのか?」

このような問い合わせを柔道整復師からよくいただきます。

この問題は、ここ数年特に目立ってきている気がします。

私自身、曖昧にお答えできないと思っておりますので、行政に直接問い合わせをしました。

質問内容は以下のとおりです。

Q:近年、広告の制限(法第24条)をあまりにも逸脱した看板などを目にするが、
  当該施術所に対してどうすれば処罰などの措置を講じてくれるのか?

回答内容は以下のとおりです。

A:法第24条違反をしているとする広告(看板、紙媒体問わず)を確認し、当該施術所
  に対して必要な報告を求め指導を行う。
  その後、経過観察を実行し何ら反省を示すことなく法第24条違反を繰り返すよう
  であれば、法的措置を講じ処罰する。

回答によると、処分までの流れは以下のようになるそうです。

①患者などからの情報提供により調査

②保健所により行政指導

③経過観察

④反復、継続を確認した時点で柔道整復師法違反として法的措置

⑤法第24条違反として30万円以下の罰金
(場合によって、罰金以上の刑に処せられた者として免許の取り消しおよび業務の停止)

しかし、逸脱した看板やチラシが減少しているとは思えません。

原因として、特に②と③を何度も往復する傾向があり、問題解決へ進展しないためと考えられます。

また、施術所の監督は施術所所在地の都道府県知事(保険所のある市では市長)が行います。(法第21条)

都道府県知事(保険所のある市では市長)は、必要に応じて必要な報告を求めたり、立ち入り検査を行ったり、内容によって施術所の使用制限や禁止にすることができるのですが、この権限は施術所の構造設備もしくは衛生上の措置に関するものとなっています。(法第21条第1項)

この上記権限の中に、広告の制限に関するものは含まれていないと考えられるのです。

つまり、施術所の構造設備として看板などは間接的に指導こそできるものの、広告の制限全般までは範囲に及ばないという事態になっているのです。

広告の制限について強制力を持った対応をしようと思えば、直接厚生労働省(厚生局)に柔道整復師法違反で告発するしかありません。

上記による連携がうまく取れていないことも、原因であると考えられます。

自分に限って・・・本当にそう思いますか?

もちろん、行政としても黙って見ているつもりはないようです。

「現在も、申告などによって得た情報を元に指導や業務停止などの措置を講じている。」とのことでした。

私が問い合わせるのは関西圏の行政ということもあるのか、特に強い意志を感じました。

また、行政は回答の最後にこう言っていました。

「この問題を見過ごすはつもりはなく、実際に該当する接骨院、整骨院の情報は常に入ってくる。今後もそのような情報があれば、遠慮なく申し出てきてほしい。」

柔道整復師の知らないところで、患者は今日もどこかで行政に情報提供をしているかもしれません。

あなたの院は、大丈夫ですか?

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。