業界情報

第15回柔道整復療養費検討専門委員会が開催されました

2019年9月6日、新橋にて『第15回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会』が開催されました。私も実際に傍聴をしてきました。

主な議論は、消費税増税に伴い柔道整復施術所における経費増加を配慮した改定の実施と、これまで議論されている内容の整理と状況確認となっています。

公式の資料等は厚生労働省のホームページで確認できます。

厚生労働省
第15回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会配布資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204312_00001.html

せっかくなので、箇条書きで簡単にまとめましたものをご報告しますので参考にしてください。

ご注意

※あくまで個人の備忘録です、参考程度にしてください。
※走り書きのため、内容に多少差異があります。
※発言された委員名は伏せています。
※業界人は少しでもこの検討会に興味を持ってください。
※ぜひ厚生労働省のHPで資料や議事録もご覧ください。

(1)消費税増税における療養費改定について

1.改定率 0.44%

令和元年度における柔道整復療養費の改定率については、本年10月に予定されている消費税率の10%への引上げに伴い、柔道整復施術所におけ経費の増加が見込まれることから、診療報酬における消費税対応分の改定率等を踏まえ、政府において決定したもの

(参考)今回の診療報酬全体改定率 0.88%
平成 26 年:診療報酬全体改定率 1.36%(柔整改定率 0.68%)

2.改定の内容(案)

柔道整復療養費の前回(平成26年)の消費税改定も踏まえ初検料及び再検料への上乗せを行うとともに、骨折・脱臼に係る療養費等についても、今回の改定率に応じた上乗せを行う

項目現行引き上げ額改定後
初検料1,460円60円1,520円
整復料2,300円~11,500円200円2,500円~11,700円
固定料3,600円~9,200円200円3,800円~9,400円
再検料400円10円410円
後療料(810円)(骨折)810円10円820円
後療料(680円)(不全骨折、脱臼)680円10円690円
金属副子加算950円50円1,000円
柔道整復運動後療料310円10円320円

3.施行日

消費税率の引上げが、本年10 月1日に予定されていることから、同日の施行とする

委員及び事務局の発言

柔道整復師本来の骨折・脱臼の施術について考慮いただき感謝

本来は課税経費を把握して正確な金額を算出できればと思うが、全体の情報を把握しきれない等の事情にて通例の改定を踏襲した。
今回の改定率0.44%に関する財源について15億円程度を想定している
診療報酬について本体全体の課税経費について医科歯科調剤を分類して調整
昨年10月の算定回数の基礎データを算出してそれに応じて改定率の範囲内で引き上げ額と算定項目を決定している
協会けんぽ。国人健康保険、後期高齢者医療を算定回数の基礎データを算出しており、これは従来と同様である
改定における結果の検証については引き続き体制を整えていきたい
マクロの財政状況において3636億の0.44%の約15億を引き上げるという意味
各項目の引き上げについて、各算定項目の算定回数が異なるためその内容に応じて算出している
昨年10月の算定回数×現行の単価=を分母今回の引き上げた算定項目の引き上げ額×昨年の10月の算定回数=を分子

前回のH26も同様の議論があったのに、今回も改善がみられないのはどういうことか
前回の改定から時間があるのになぜ実態調査できないのか
柔道整復師とあはきの財源は異なるはずだがそれぞれの改定率は同様なのはなぜか
柔あはきの改定内容について根拠がまったくない
前回の消費税増税時と異なり今回は決定内容だけ伝えられて議論にならない
前回を踏襲したと言っているが前回の改定が正しかったのが実態調査するべきなのにしたのか
今回の地域保険者の代表が3人欠席しているのはなぜか
療養費支給の98%が地域保険者なのに代表全員が欠席している中で何を決められるのか
正確な数字、前回の実態調査なくして療養費改定を決定できるとは思えない
消費税分を補填するという意味で課税経費率など正確な計算根拠がなければおかしい
青色申告の調査をされたとのことだがN数はいくらか(2年分の268件=全体の0.0数%)

欠席されたけんぽ、国保、後期など事前の反応は何かあったのか
今回の0.44%は療養費全体の0.44%を引き上げるという意味に問題ないか
すべての算定項目に0.44%を上乗せすれば済むのにどうして算定項目にメリハリをつけたのか
算定項目に配分があることが疑問であり実態把握ができないなら全算定項目に均等に上乗せすべき

柔道整復師に青色申告調査を実施して国に提出している
今後は医療実態調査をとって実態把握したい

医科の場合診療報酬は非課税のもと消費税の公正に反映させることは極めて困難
療養費に関して検討するだけの資料が足りない現状の中で消費税増税において施術所に負担にならないよう引き上げを実施してるが今回の改定においてそこまで不適切な内容はない

本来であれば厚生労働省が決めるべきだが、様々な意見を尊重し座長一任にて事務局が必要であれば関係者と調整することで決定してはどうか
改定にはそれだけの説得ができる材料が必要だと思うので今後の説明の中で調整できるよう希望する

(2)これまでの議論の整理について

議題となった各項目は下記サイトよりご確認ください。

厚生労働省
柔道整復療養費検討専門委員会の議論の整理の各項目の状況について
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000545327.pdf

委員及び事務局の発言

審査会の権限強化について、各都道府県の審査委員について公平に設置されているのか
面接確認は指導監査ではないが実態は指導監査になっていないか
公平公正を担保するために審査会の構成などは好評してもらえないのか

面接確認委員会において不適正であれば連携を図る
保険者に係る権限について

療養費は平成24年より減額しているのが現状、その要因の一つに行き過ぎた受診照会がありルール違反をする保険者が一部いる
一例として「柔道整復師に受診内容を確認してはいけない」を患者に通達など
平成11年に発出において「受診内容等を柔道整復師に確認するのは問題ではない」とある
この点ついて健保連側で何か是正に係る活動や周知など実施されているのか

受診照会の是正について特に活動などは実施していない
償還払いしか認めない権限について早急に対応していただきたい
受診照会の是正について健保連年3回ほど照会の在り方や実態調査など実施している

あはきの療養費請求は医師の同意が必要、柔整療養費は骨折脱臼以外は医師の同意は不要、この理由は何か
平成7年医療審議会で柔整療養費について「医師が不足、緊急性が高い、負傷が明確」などの3点が挙げられている
あはきの受療委任が適用になったことで柔整療養費の位置づけが不透明ではないか

さいごに

今回は、第15回柔道整復療養費検討専門委員会の議論内容と備忘録を公開いたしました。

ぜひあなたの接骨院・整骨院経営にお役立てください。

ABOUT ME
樋口 弘明
柔道整復師。関西圏で合計9つの接骨院・整骨院に勤務し、施術のほか新人教育や療養費請求のレセプト処理、Webや紙媒体による広報など柔道整復に係る様々な事業を経験。現在は会社を設立し、業界に役立つ様々な情報やコンテンツを発信、提供する活動を実施している。