常日頃から、接骨院・整骨院に来院した患者さんには実際の施術だけではなく、現在の負傷の状態や必要な処置、日常に関する生活指導など様々な説明しているかと思いますが、初めて来院した患者さんに対して算定できる項目があります。それが初険時相談支援料です。
今回は、初険時相談支援料の基本的な取り扱いと注意点を解説します。
柔道整復業界に関わって16年、療養費の支給基準に基づいて厚生労働省や保健所、業界団体の有識者に確認を取った内容ですので、きっと参考になるはずです。
ポイントだけ知りたい方は【目次】をご覧いただければ要点はつかめるかと思います。
初検時相談支援料追加の経緯
初検時相談支援料は、平成20年6月の改定時に新設されました。
新設検討時には「指導料」「管理料」などの名称を候補としていましたが、医科診療報酬の医学管理料、労働者災害補償保険(労災保険)の指導管理料などとの区別がつきにくいとの理由によって、初検時相談支援料という名称になったとされています。
余談ですが、平成28年5月に開催された、第5回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会の配布資料では、初検時相談支援料の算定率は93%と算出。
厚生労働省公式ホームページ
第5回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会配布資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000123852.html
初険料を算定した柔道整復師のうち、10人中9人が初検時相談支援料も算定していることになります。
初検時相談支援料の算定料金について
算定できる金額は、50円です。(2019年6月現在)
初検料に併算定する項目ですので、単独算定はできません。
初検時相談支援料の算定については業界内で賛否があり、算定を推奨しない団体も少なくありません。具体的な内容は後述しますので、「自分ならどうするか?」の判断材料にしていただければと思います。
算定できる条件があります
療養費の支給基準には、下記内容が記載してあります。
具体的には
(1)日常生活動作上での励行事項や禁止事項(入浴、歩行、就労制限等)
(2)患部の状態や選択される施術方法などの詳細な説明
(3)受領委任の取り扱いについての説明
(4)その他、柔道整復師が必要と認め、懇切丁寧に行う相談支援
とする。
療養費の支給基準
「具体的には」に記載がある4つの項目を患者さんに説明をし、施術録に記入することにより算定可能となります。口頭での説明だけでは算定できませんのでご注意ください。
なお、患者さんが幼児などで本人ではなくその保護者に説明をした場合もこれに含まれます。
算定には賛否があります
初検時相談支援料の算定には具体的に4つの項目を説明する必要があると説明しました。
この項目について、ある業界団体では
「4つの項目のうち、すべてを説明しなければならないというものではなく、これらのうち必要と思われるもので問題ない。」
と解説している場合がありますが。この点について「4つ全ての項目を説明・記載しなければ算定を認めない」という保険者が実際に複数存在しますので、「どれか1つさえ説明すればいい」と考えるのは早計です。
また算定条件にあります、
「…きめ細やかに説明し、その旨施術録に記載した場合に算定できること。」
の部分について、具体例など明文化されていません。明確なルールがないのです。
これはつまり、「どれだけやれば、きめ細やかな説明になるのかわからない」ということになり、その判断をするのは保険者です。
・4つの項目すべて満たす
・具体例が存在しない
・最終判断は保険者
これらを考慮し、取り扱うようにしてください。
同月内においては1回のみの算定
初検時相談支援料は、翌月に継続負傷がすべて治癒し、その後に発生した新規負傷には算定可能となります。これは過去に解説した初検料と同じ考え方で問題ありません。
初検料と異なる部分は、初検料は同月内でも条件を満たしていれば複数回算定できましたが、初検時相談支援料の場合は同じ条件でも算定できないことです。
月内で1回でも算定していれば、同月内で継続負傷が治癒し新規負傷が発生しても算定できないので注意して下さい。
また、無病の時には算定できません。(初検料の算定は可)
この書籍は読んでおくべきです
今回の引用でもご紹介している【療養費の支給基準】という書籍は、健康保険で施術を実施している接骨院・整骨院にとって必読書ですので、まだお持ちでない場合はぜひ購入をお薦めいたします。
一般の書店にはなかなか販売していませんので、amazonや楽天ブックスでご確認ください。
さいごに
今回は、初検時相談支援料の基本的な取り扱いと注意点について解説いたしました。
ぜひあなたの接骨院・整骨院経営にお役立てください。