消費税増税に合わせた療養費改定についての質問
今回、Y先生からご質問をいただきました。
いつもお世話になっております。
質問してもよろしいでしょうか?
消費税により、経費が上がることを考えて、柔道整復師の療養費も
保険を多くあげますよということでよろしいでしょうか?
柔道整復師の保険料を減らしたい世の中であるのに、なぜ保険料を
あげたのでしょうか?
また、全体の約半分の0.68%を柔道整復師の保険料増加に回したと
いうことですが、温熱料や電料など通常の保険料も多くなるのでしょうか?
Y先生、ご質問ありがとうございました。
一つずつ解説したいと思います。
質問 その1
まず、
消費税により、経費が上がることを考えて、柔道整復師の療養費も
保険を多くあげますよということでよろしいでしょうか?
についてですが、簡単に言えば上記の考えで間違いありません。
具体的には、通例として療養費改定は医科の診療報酬の改定率約50%が反映されています。
ちなみに、診療報酬改定は4月、療養費改定は6月というのが今までの流れですので、診療報酬の改定率が分かれば、療養費の改定率もある程度予測することができます。
今回は消費税増税時期に合わせたため6月改定ではありませんでしたが、改定率は通例に則った形式を採用したというものです。
質問 その2
次に、
また、全体の約半分の0.68%を柔道整復師の保険料増加に回したと
いうことですが、温熱料や電料など通常の保険料も多くなるのでしょうか?
についてですが、今回の改定では初検料(115円増)と再検料(25円増)の引き上げによって0.68%となります。
温罨法や電療料などは今回対象外です。
後療料については、去年の平成25年度に引き上げ(5円増)となっています。
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個人的な見解ですが、療養費の算定料を引き上げるのであれば、初期の処置のみ算定可能な初検料(1回目)と再検料(2回目)を採用することで、保険者(支払い側)の異議を収めたのだろうという印象です。
質問 その3
最後に、
柔道整復師の保険料を減らしたい世の中であるのに、なぜ保険料を
あげたのでしょうか?
上記の疑問は、Y先生だけでなく多く柔道整復師が感じるところではあるかと思います。
しかし、少し誤解があるようです。
「保険料を減らしたい」という意思を強く持っているのは保険者(支払い側)であり、世の中ではありません。
厚生労働省は比較的中立であり「必要な措置」と判断した場合には何らかの対応を実施する考えを示しています。
この「必要な措置」は、プラス(+)にもマイナス(-)にもなります。
今回の改定に関しては、どちらかといえばプラス(+)かと思います。
しかしながら、柔道整復師側が療養費を正しく扱わない場合、取り扱いの基準を厳しくする方針です。
現在までの改定にあるマイナス(-)部分は、一部の柔道整復師による不正な請求への償い。
これも「必要な措置」として実施されたものです。
義務を果たさず権利だけを主張する者(団体)に対して、厳格な態度を取ることは個人であっても国であっても同じ。
今後の療養費改定内容の良否は、柔道整復師次第で決まると改めて肝に銘じておくべきです。