往療には加算できる療養費があります。
前記事で、往療に関する内容を解説をさせていただきました。
往療の取り扱いは少々複雑ですが、条件を満たしていた場合には臆することなく算定していただきたいと思います。
その往療ですが、基本の取り扱い以外に条件によって加算できる療養費があります。
その内容について、それぞれ解説していきます。
難路加算
難路加算とは、往療時に難路だった場合に算定できます。
難路加算における難路とは、常識で判断されるもので、第三者に納得され得る程度のものでなければいけません。
例えば、下記のケースはどうでしょうか?
「往療の患者さん、エレベーターのないマンションに住んでいて、しかも15階・・・こりゃ難路だな。」
個人的には、難路としたい気持ちはとてもよくわかります。
しかし、残念ながらこのような場合を難路とするには少々適応不足です。
「先生は健常者なんだから、15階くらい日頃の運動不足解消だとポジティブに考えてください。」
そんな保険者の声が聞こえてきそうです。
では、どれくらいのものを算定基準とすればいいのでしょうか?
「車が通れない細い道、自転車で上れない急な坂、しかも駅から遠く道路が舗装されていない山の上・・・こんなとこに家あるの?」
少々大げさではありますが、これくらい納得させられる内容であれば問題ないかと思います。
暴風雨雪加算
暴風雨雪加算とは、往療時に暴風雨雪だった場合に算定できます。
暴風雨雪加算における暴風雨又は暴風雪とは、気象警報の発せられているものに限られ、気象警報の発せられない場合は原則として認められません。
気象警報とは、テレビを見ていると上部に表示される「○○県南部に、暴風波浪警報が発令されました。」というものがイメージしやすいですね。
往療時に警報が発令されていれば、問題なく加算できるかと思います。
夜間加算
夜間加算とは、往療時に夜間だった場合に算定できます。
夜間の取扱いについては、おおむね午後六時から翌日の午前六時まで、又は、午後七時から翌日午前七時までのように、一二時間を標準として各都道府県において統一的に取扱うこととされています。
加算できる金額はどれくらい?
難路加算、暴風雨雪加算、夜間加算のいずれも100分の100に相当する金額を加算します。
100分の100相当って言われてもわかりにくいですね・・
いったいどれくらい加算できるのでしょうか?
100分の100相当とは?
所定の往療料金に対して、同じ金額を加算する事です。
例1) 往療距離が2km.だった場合
1,860(往療料)+1,860(難路加算など)=3,720円
例2) 往療距離が3km.だった場合
2,660(往療料)+2,660(難路加算など)=5,320円
難しく考えずに、往療料を2倍にすると覚えておけばいいかと思います。
加算できるのは初検月のみです。
上記の加算については、往療を5回行えば5回分加算できるものではありません。
難路、暴風雨雪、夜間だった場合に、月でそれぞれ1回分を加算するというものです。
また、療養費の算定基準の留意事項では、夜間加算の部分に「後療往療の場合は算定できないこと」と記載してあります。
夜間加算の部分に記載しておりますので、難路と暴風雨雪加算には関係ない内容にみえますが、各業界団体の見解では夜間加算以外の2つにも上記記載が適応されると判断しています。
つまり、初検月以降の往療では、たとえ難路、暴風雨雪、夜間であっても加算できないということとなります。
ちょっと強引ですが、往療した回数や期間は関係なく、往療を適応した負傷そのものに対して加算するものと考えれば理解しやすいのではないでしょうか?
今回の解説は、各業界団体で見解が異なる場合がありますので、一度確認してみて下さい。